雨と雨漏り

海洋・湖沼・陸地などから蒸発した水蒸気が大気中に含まれて雲を形成し、雲の中で雨粒が成長しやがて大きくなった雨粒が地上に落下することで、雨となります。

一方、ほとんどの建物が雨漏りや結露などの水によって寿命を縮めているという事実があり、木材を腐らせ金属を錆させる原因の多くは、屋根や外壁から入ってくる水なのです。

雨雲と降雨


建築物は雨水が侵入しないように考慮した設計が行われますが、その設計にミスがあるか、あるいは手抜き工事など施工に欠陥があると完成した建築物へ雨が侵入することがあります。一方、建物の経年劣化や大規模な地震によるひび割れなども雨漏りの要因です。

また、雨が降るたびに雨漏りするわけではなく、強風を伴う大雨・短時間集中のゲリラ豪雨などの時にだけ、雨が漏れるといったご相談も最近よく聞きます。日本の年降水量は年ごとの変動が大きく明瞭な増加もしくは減少傾向は認められないですが、1 日に降る雨の量が100mm以上や200mm以上の大雨の日数は増えている傾向にあります。

外壁においては、風がなければ雨はまっすぐ下に降り、壁面に当たらないので雨漏りは当然発生しない。しかし、設計時の想定を超えた強風雨や豪雨で、雨水が強風によって下から上に押し上げられると、たとえ大雨でなくてもある日突然に雨漏りが発生することがある。外壁を施工する前の防水シートに欠陥がある場合や、軒天先行工法、片流れ屋根のように軒の出が少ない屋根設計など雨仕舞の不備も要因の一つと言えます。


部位別の雨漏り事例

発生した部位不具合事象主な原因
外壁外壁から雨水の侵入おもに外壁のひび割れ、シーリングの劣化、防水シートの施工不良などにより雨水が浸入したもの。
外壁と開口部の取り合い部分からの雨漏り。外壁と開口部(サッシ窓枠、換気フードなど)の取り合い部分から雨水が浸入したもの。
外壁と屋根の取り合い部分からの雨水の侵入外壁と屋根や軒天の取り合い部分から雨水が浸入したもの。
開口部からの雨水の侵入開口部建具の不具合(防水テープの施工不良、シーリング材の劣化など)により雨水が浸入したもの。
バルコニー笠木などからの雨水の侵入バルコニーの笠木、手すり壁(鉛直面)などから雨水が浸入したもの。
バルコニーの床などからの雨水の侵入おもにバルコニーの床や、床と手すり壁との取り合い部分から雨水が浸入したもの。
屋根勾配屋根の屋根面・棟から雨水の侵入勾配屋根の屋根面および頂部の棟の不具合により雨水が浸入したもの。
ケラバ・破風から雨水の侵入ケラバ・破風にかかる部分の不具合により雨水が浸入したもの。
軒裏・軒天からの雨水の侵入軒裏・軒天にかかる部分の不具合により雨水が浸入したもの。
勾配のない庇からの雨水の侵入玄関などひさしとして設けられたフラット屋根の不具合により雨水が浸入したもの。
太陽光パネルと屋根の接続部分からの雨漏り太陽光パネルが原因で雨水が浸入したもの。
陸屋根における床面からの雨水の侵入陸屋根(屋上)の床面にかかる不具合により雨水が浸入したもの。
陸屋根のパラペットからの雨水の侵入パラペット等の立上り部分にかかる不具合により雨水が浸入したもの。
内樋からの雨水の侵入内樋(屋上やバルコニー床面から排水のために外壁の内側のある樋)の不具合により雨水が浸入したもの。
トップライトまわりからの雨水の侵入トップライト・天窓・煙突など屋根面開口部の造作物の不具合により雨水が浸入したもの。