防水工事の基礎知識

瓦・コロニアルをはじめとする屋根葺材を使うことができない傾斜屋根以外の屋根(陸屋根・屋上・バルコニー・ベランダなど)では、木材やコンクリートなどの水平な屋根面を漏水から守るために、雨水を防ぐ層(防水層)をつくって対処しています。
この防水層を設ける工事を防水工事といい、防水層を構成する資材の種類やその組み合わせによって様々な工法があります。

防水工事にはあらゆる条件や用途に対応できるように、多種多様な工法があります。
アスファルト・ウレタンゴム・塩化ビニル系シート・FRPなど、様々な種類の材料や施工方法がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあるのです。予算によっても、防水工法や仕様が変わるものです。

改修時においては、防水層を撤去するのか? 既存の防水層の上からかぶせるのか?
雨漏りしている場合では、なぜ雨漏りしているのか?
人の歩行頻度はどのくらいか? ベランダ・屋上の使用目的は?
『こんなはずではなかった!』と失敗しないためには、建物の構造と状態や既存防水層の種類などによって、適切な防水工法を選定する必要があります。

防水が必要な部位

水の種類部位場所内容
降雨水屋根・屋上建物最上部に位置して、降雨・日射を遮蔽する。
生活環境を確保するための主要な機能が必要な部位である。
気密・断熱・遮音などの機能も要求される。
一般的に傾斜があるものを屋根、陸屋根を屋上と呼ぶ。
用途によって最適な保護仕上げ層の選定が重要。
①非歩行用
②歩行用ー軽歩行(軽歩行住宅など限定された人の歩行用途)
     通常歩行(デパートなど不特定多数の人の頻繁な歩行)
③駐車場ー車両による重量と摩擦を考慮する。
④運動場ーテニスなど各種競技、運動に適した保護仕上げ方法を考慮する
 
バルコニー建物外壁から突出し室内空間の延長として使用できる屋外の床
バルコニーの階下に部屋がある場合が多い。(ルーフバルコニー)
屋上に準じ、歩行用の仕上げを考慮する。
ベランダ部屋に接して外壁から張り出した縁
屋上に準じ歩行用の保護仕上げを考慮するが、
階下が同様のベランダである場合、やや軽微な防水・保護仕上げでも可
開放廊下共同住宅に設けられる共用の廊下。
屋上に準ずる歩行の程度は通常歩行となる。
階下が同様の開放廊下である場合、やや軽微な防水・保護仕上げでも可。
外壁建物外側の壁。
カーテンウォ―ル等のパネル類で構成される場合はジョイントの雨仕舞、
目地防水が重要。 現場打ちコンクリート外壁ではクラックの問題から、
外壁全面に防水する必要がある。


施工形態での分類

施工形態施工方法工法の名称その特徴
膜を作る液状の材料を現場で
塗って作る
(塗膜防水)
ウレタン塗膜防水
FRP防水、など
連続した膜ができる。
下地の精度が品質に影響する。
膜厚の管理が重要
膜を張る膜状のもの(シート)を
現場で張る
(接着・機械固定)
(シート防水)
合成ゴム系シート防水
塩化ビニル系シート防水
材料として均質・品質安定
ジョイント(継ぎ目)ができる
継ぎ目部分の段差の処理が重要
膜を複合する膜状のもの(シート)を
液状のもので(隙間なく)
現場で張り重ねる
(複合防水)
アスファルト防水
施工工程が多い
塗膜とシートの欠点を補いあう
(両方の欠点を合わせ持つ)


工法による分類

アスファルト防水

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合成繊維不織布にアスファルトを含浸・コーティングしたシート状のルーフィングを貼り重ねて形成する工法。熱工法・トーチ工法・常温工法などに分類される。

塩化ビニル系シート防水

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塩化ビニル樹脂系のシートで構成された防水層で、紫外線、熱などに対して優れた耐久性を持っています。接着工法と機械的固定工法があります。

ウレタン防水

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液体状のウレタン樹脂を塗り付けて、固まる(硬化する)事によって弾性でゴム状の防水層を作る工法。密着工法と通気緩衝工法がある。
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FRP防水

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FRPは繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)の略称で、ガラス繊維などの補強材にポリエステル樹脂を塗布し硬化させて防水層を作る工法。
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