『FRP防水ベランダ床のグレー色の塗料が剥がれてるのですが…』

このようなご相談をよくうけます。新築からわずか一年足らずで剥がれたという話しも聞きました。表面のグレー色の塗料は、トップコートや保護塗料などと呼ばれています。
これらは、FRP防水層を紫外線などから守るためのもので、表面塗料だけのひび割れやはがれによって、ただちに雨漏りすることはありません。

トップコートのひび割れ

しかし保護塗料がないと、熱や紫外線・空気中の窒素酸化物・加水分解などにより、FRP防水層が徐々に劣化します。
また、表面だけのひび割れに見えていても、トップコートを剥がしてみるとFRP防水層にも亀裂が入っていた例もたまにありますので、あまり長期間放置しないほうがいいでしょう。


『なぜトップコートがはがれたりひび割れするの?』

FRPはポリエステル樹脂をガラス繊維で補強した、繊維強化プラスチックです。
ポリエステル樹脂は、空気に触れている部分は硬化しにくいので、防水工事で使用するポリエステル樹脂の液体は、パラフィン(ロウの成分)が入っている樹脂で積層します。
このパラフィンが樹脂の上に浮いてきて、空気を遮断するので硬化が促進されるのです。逆に、パラフィンが入っていないと、表面が硬化しにくくなります。

FRP防水を施工後、このパラフィンを研磨・溶剤でのふき取り除去をしっかり行わずに、トップコートを塗ると、すぐに剥がれる原因となります。
つまりパラフィンが間にあることは、密着してないことなのです。
トップコートの厚塗りなど、施工ミスによって早期にひび割れすることもあります。

現在多くのベランダに塗られているのは、硬く耐摩耗性に優れたポリエステル系トップコートですが、経年劣化や紫外線でパリパリになってきます。たとえ適切な施工を行っても、硬いゆえに下地の動き・伸縮について行けず、ひび割れすることがあるのです。


『なにかいい方法はないの?』

トップコートに硬いポリエステル系ではなく、伸縮性・耐候性に優れた、FRP防水専用のアクリルウレタン樹脂や、アクリルシリコン樹脂の保護塗料を使用する事で、トップコートの変色・ひび割れ・剥がれ等のトラブルが起きにくいFRP防水の仕上げ層を作ることも可能です。


『FRP防水まで割れてしまってるようですが?』

グレー色のトップコートだけでなく、透明のFRP防水層まで割れてしまっているようだ…こんな場合はお早目に対処することをおすすめします。
下から天井を見て、しみがあるような場合は雨漏りしている可能性が高いのでご注意ください。
どこまで割れているのか見分け方がわからない場合はご相談ください。

トップコートおよびFRP防水層のひび割れ